札幌高等裁判所 昭和27年(う)424号 判決
原判決は証拠の標目として「昭和二十七年領第三十六号約束手形の存在」を挙示しているが、右証拠物が果して適法な証拠調手続を経たものであるか否かにつき検討するに、差戻後の原審第一回公判調書によれば検察官提出の証拠として「差戻前の第一審第一回公判調書記載の証拠書類、差戻前の第一審第三回公判調書の証人佐々木譲の供述記載部分」「差戻前第一審第四回公判調書の証人大岡新太郎の供述記載部分」弁護人提出の証拠として「差戻前の第一審第六回公判調書記載の証拠書類」がそれぞれ記載されているが、差戻前の第一回公判期日に検察官より提出された右約束手形については何等の記載がなく、又原審が職権によつて右約束手形の証拠調をなした形跡もない。果して然らば該約束手形については差戻後の原審において証拠調がなされていないものと断ずるの外なく、かゝる証拠を断罪の資料に供した原判決は明らかに訴訟手続に違背するものであり、これが原判決に影響を及ぼすことは明白である。論旨は理由がある。